明治維新の志士と禅、そしてマインドフルネス


今、世界中でマインドフルネスと言われていますが、それよりも世界的に認められているのは、日本の禅(ZEN)です。

禅は、インド人のダルマさんが中国にヨガの瞑想を伝え、それが日本に渡って花が咲きました。

特に禅は鎌倉時代に権力争いに明け暮れ、命のやり取りが日常的だたった武士に尊重されました。

それ以来、日本の武士道と禅は、切っても切り離せない存在となりました。

明治維新で、社会の価値観が根底から変わる動乱の時、禅の達人である武士が、自分の信念を貫き、新しい時代を切り開きました。

その三人とは、勝海舟 と 西郷隆盛 と 山岡鉄舟 です。

 

勝海舟と「明鏡止水」

まだ、二十歳そこそこであった海舟は、剣術の奥義を極めるために、島田虎之介の道場に寄宿して剣の修行 朝と夜厳しい修行していました。

明治時代になって、口述筆記でまとめられた自伝「氷川清話」には、以下のように語られています。

「島田といふ先生が、剣術の奥意を極めるには、まづ禅学を始めよと勧めた。

二十歳のころから、殆ど四ヶ年間真面目に修行した。この坐禅と剣術とがおれの土台となった。

それによって、勇気と胆力が養われ、危機に際しても、身命を捨てて、危機を脱することができた。」

 
実際、勝海舟は何度も暗殺されそうになりましたが、その都度捨て身の心境で、その場を切り抜けたようです。

 
禅の目指す境地して、不動心がありますが、それなくしては生き残れなかったでしょう。

 
後年、彼は次のような言葉を残しています。

「心は明鏡止水のごとし、といふ事は、若い時に習つた剣術の極意だが、外交にもこの極意を応用して、少しも誤らなかつた。」

 
「明鏡止水」とは、ヨーガ スートラ でヨガの定義として、「ヨガとは心の動きを止めることである」と同じ境地と言えるでしょう。

 

西郷隆盛と「敬天愛人」

西郷隆盛は、17歳から28歳までの間、一日も怠ることなく、誓光寺の無三住職に参禅していました。

30歳の時は、政治的に君主久光公の怒りをかって、 奄美の島へ五年間島流しにされてしまいました。

その時龍郷村で、三年間格子牢生活の中で瞑想して、隠遁生活を過ごしています。

 
その彼が、禅をして得た考えを、このように語っています。

 
「すべての生き物はみな、血が生み出し養う。

その中でも人は、万物の霊長たる存在だ。

だからこそ私は座禅を通しで心を養い、運動して体を養い、この生命を全うする」

 
西郷隆盛が終生口にしていた言葉が、「敬天愛人」という言葉です。

意味は、「人は天から天命というものを与えられ、それに従い生きている」ということになります。

これは、ヨガで言うところの、バクティヨガの考え方と全く同じです。

 

山岡鉄舟と「本来無一物」

山岡鉄舟は幕末から明治にかけての剣客・幕臣であり、剣の道・禅の道においては当代随一の実力を誇り、明治天皇からの信頼も厚かった人物です。

西郷率いる官軍が江戸に迫る中、徳川慶喜の恭順の意を伝える使者の役目を得て、正に敵の陣中に一人向かった人物です。

その時鉄舟は、「朝敵徳川慶喜家来山岡鉄太郎、大総督府へ通る」と大声で叫び、堂々と敵陣の中を進んだと伝えられています。

そして、その様子を見た官軍の兵士も、身命を顧みずに乗り込んできた鉄舟の志に、敵味方の別を超えて心から感動したそうです。

このように肚が座って偉業を成し遂げたのも、若い頃禅の修行に明け暮れていたからです。

 
鉄舟は維新が訪れる以前、二十歳だった頃、剣術の修行の為、約十年間一日も倦むことなく禅の修行に打ち込みました。

その時、願翁和尚から教えられた禅語、「本来無一物」が、彼の生涯の指針となりました。

明治21年7月19日、 山岡鉄舟(52歳)が胃ガンにより死去しました。

明治維新後、明治天皇から絶大な信頼を得ていた鉄舟は、最後に皇居に向って、 結跏趺坐したまま絶命したといいます。

その日、勝海舟(65歳)が鉄舟を見舞ったそうです。

果たして結跏趺坐で坐っており、海舟が「どうです。先生、ご臨終ですか」と問うと、ニコッとして「さてさて、先生よくお出でくださった。ただいまが涅槃の境に進むところでござる」と答えたというのです。

海舟は「よろしくご成仏あられよ」と言って辞去しますが、自宅に戻るまでに使者があって、鉄舟の死を伝えたといいます。

お互いに禅の境地を極めた二人らしい会話ですね。

 
こうして明治維新に活躍した禅の達人三人を見ると、最近取り沙汰されている、欧米のマインドフルネスを実践している経営者など、器がまだまだ小さいと感じますね。

 
結局のところ、瞑想や禅やマインドフルネスの本質は、この三人が残した言葉、「明鏡止水」、「敬天愛人」、「本来無一物」に集約されると思います。

 
我々人間は、「私」の意識が前面に出てきてしまうと、「私」の為に行動するので、欲望や不安や迷いによって、心が休みなく動いてしまいます。

しかし、人間は本来何も持たず生まれ、死んでいく存在である「本来無一物」の気持ちを忘れず、命は天からの授かりものとして天を敬う「敬天愛人」の意識を持ち、邪念を晴らすことができ、初めて澄んだ水面のように、曇りの無い鏡と澄んだ水面となり、安らかに落ち着いた心境になるのでしょう。

 
普段の生活でも、心がいろいろ動いてブレている時は、自分が何をするべきか判らなくなりますが、心持ちを静かにした時、自分のやるべきことが観えてくると思います。

 

12月24日(日)開催
瞑想・マインドフルネス一日集中講義

近年、マインドフルネスと言う言葉で、瞑想が注目を浴びています。
しかし、実際に長年瞑想の実践をし、その本質について解説している人は、非常に少ないです。
ユキオ先生は10代の頃より禅の瞑想を実践し、さらにヨガなどを通じて、心と身体の関係について研究して来ました。
その実践と経験に基づいた内容を、今回は集中講義でお伝えします。

 
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● 講義内容

1) 行動と実践による心の静寂のメカニズム

2) アーサナと瞑想の関係 ヨガ・スートラの解説

3) 座る姿勢と仙骨の働きについて

4) クンダリーニの働きとシャクティの本質

5) 脳が感じる世界とホログラム理論について

6) 大脳生理学から見る瞑想の効果

6) 考える瞑想 クリシュナムティの自我の終焉について解説

7) こころと身体の関係性  神経細胞によるネットワーク 外部記憶説
ソマティック・エクスペリエンシングの解説

8) アドラー心理学 共同体感覚と瞑想の関係

9) 潜在意識と自己肯定感の必要性

10) 自立神経と意識の覚醒につてい
  社会神経・交換神経・副交換神経の役割

11) 仏教徒と瞑想 天台小止観の解説

12) 禅の教えによる瞑想の活かし方

● 実践内容

○ カパラバティ呼吸のの実践

○ 座禅

○ 一点凝視の瞑想

○ 歩行瞑想

○ ヨガニドラー

○ 慈悲の瞑想

○ マントラ瞑想

○ 眉間凝視法

○ バランス瞑想法

● information

開催日 :12月24日(日曜日)

時間  :10:00~17:00

料金  :15000円
     
開催会場:東京湾岸会場
     東京都江東区豊洲周辺
     お申し込み受付後に会場詳細をお知らせいたします。

 
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この記事の著者

ユキオスダルシュナヨガ主宰

ヨガ歴20年、ヨガ指導歴13年。日本で最も有名なアシュタンガヨガスタジオIYCほか、国内著名ヨガスタジオ、スポーツジムにて指導経験を積む。取得した指導者養成資格多数。近年は、ヨガ哲学をテーマにワークショップを数多く開催する一方、ティーチャートレーニングにて後進ヨガインストラクターの育成にも力を注ぐ。

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