人生の中で、本当に信じられるものは何かと、改めて問われた時、多くの人はどう考えるでしょうか。
そもそも本当に信じるものを持っている人は、どれだけ存在するでしょうか。
またそれ以上に、自分の信念に従って、行動したことがあるでしょうか。
多くの人が、他人の目や世間の価値観を気にして、周囲の状況に迎合しているのではないでしょうか。
メルギブソンが監督した最新映画、「ハクソー・リッジ」では、「本当の信念と自分の内なる声」について改めて考えさせれました。
この映画は今年のアカデミー賞で、2部門(編集賞、録音賞)を受賞し、ノミネートは作品賞他6部門にも及んだ注目作品です。
映画の内容は、第二次世界大戦の沖縄戦に衛生兵として参加をして、武器を一切持たずに人命救助を行った実在の兵士、デズモンド・ドスの真実の物語です。
子供の頃に学んだ、聖書の十戒の教えの中で、第6番目の「汝、殺すなかれ」と言う教えが、彼の生涯にわたる信念となりました。
ドスが青年になった時、アメリカは第二世界大戦の最中で、ドス青年も当然、他の若者と同じように、愛国心に燃えて軍隊に入隊しました。
しかし、他の兵士と異なる事は、自分の信念から、一切武器を持たないと言うことを実行したのです。
そのために、軍隊の軍事訓練の中で、ドス青年は戦友から孤立し、嘲笑され、ひどい嫌がらせを経験しました。
上官からは、「お前は神の声がお前には聞こえるのではないか」と質問を受ける場面もありました。
これに対して、ドス青年が神の声を聞いたと答えたならば、その場ですぐに精神異常者として退役させるつもりでした。
しかしドス青年は、毅然とした態度で、そのような声は聞いたことはなく、自分は極めてまともな存在であると主張しました。
誰からも相手にされないドスは、そうした状況でも、軍隊に留まる決意は揺るがず、空いている時間では、一人静かに聖書を読んでいたそうです。
その後あらゆる困難を乗り越えて、自分の信念を曲げることなく訓練を終えて、青年が向かったところは、まさしく地獄の戦場である沖縄戦でした。
戦友が次々と傷つき、死んでいく激しい最前線の中にあって、戦場の中で衛生兵として救護活動に従事します。
日本軍の激しい反撃により、米軍は数多くの死傷者を出して撤退していく中、ドス青年は武器も持たず、たった一人で前線に留まります。
そのような修羅場の状況の中で、一人静かに、私は何をすべきか、自分の内なる存在に問いかけます。
その時、「もう一人を助ける」との内なる声を聞きます。
そして自分の内なる声に従って、渾身の力を振り絞って、その戦場から逃げることなく救護活動を行い、75人もの兵士を助けたということです。
ドスに助けられた兵士の中には、かつてドスを嘲笑して、ひどい嫌がらせをした者も含まれていました。
そしてそればかりか、救護したのは敵である日本の兵士も含まれていたと言われています。
ドス青年の行動を通して、真の勇気とは何か考えさせられ、信念は奇跡も生み出してしまうことを知ることができます。
自分の本当の内なる声と言うものは、周りの状況に振り回されることなく、静かに自分の心の奥底に問いかけることによって、初めて聞き取ることができるのです。
つまり、自分の本当の声と言うものは、自分の内なる存在、ヨガで言うところのアートマンを本当に信じて、こころを静かにした時、初めて聞こえるものなのです。
かつてアシュタンガヨガのパタピジョイス師は、「あなたの心が限りなく静かになった時、あなたのヨガは正しい」と説きました。
アーサナの練習の究極的目標は、周囲がどんな状況になろうとも、こころを静寂にして、内なる声を聴くことなのです。
「ハクソー・リッジ」の動画
監督 メルギブソンについて
アクション映画「マッドマックス」(1979年)の主演で脚光を浴び、演技派俳優として、名声をほしいままにして、映画監督にも乗り出します。
3作目となる監督作「パッション」(2004年)では、私財30億円を投じ、イエス・キリストが磔にされるまでの12時間を銀幕の上に再現してます。
彼は、熱烈なカトリック教徒としても知られ、自宅近くの丘にチャペルを建設してしまうほどです。
しかし、そんな栄光あるキャリアの中で、激しい気性や独特の思想信条から、私生活では不倫、離婚、逮捕と言った様々なトラブルを引き起こし、その名声も一時は地に堕ちました。
そのような状況から立ち直り、10年ぶりに監督した作品が、今回の「ハクソー・リッジ」です。
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