健康寿命とヨガの関係


日本は、世界保健機関(WHO)が発表した世界保健統計2016によると、世界一の長寿国で、男女平均寿命が83.7歳だそうです。

しかし、厚生省が発表した医療・介護に依存しないで生きる「健康寿命」は、それより10年近く低いのです。

つまり大半の人は、人生の終わりの10年間、医療・介護に依存して生きる運命だと言うことになります。

どんなに若い時に、活躍して栄光を浴びたとしても、人生の最後で医療に頼り切った生活をしていると、人生そのもののクオリティが低下してしまいます。

 
ヨガでは、人生を終えた時の意識の持ち方が、次のステージを決定すると言われています。

 
そう考えると、どのように人生を終えるかは、非常に大切な問題となります。

 

○ ヨガの実践が長寿をもたらす

近代ヨガの祖であるクリシュナマチャリア師は、80歳を過ぎても非常に健康で、毎日ヨガの練習をしていました。

実際に88歳の時のポーズの写真は、非常に美しく無駄のない、身体のラインをたもっており、正に驚異的です。

年をとっても練習ができ、そしてその練習が健康をもたらすところが、ヨガとスポーツの決定的な違いでもあります。

では、なぜヨガは健康に良いかと言うと、様々な要素がありますが、その1つに血管の状態を良好に保つ働きがあります。

血管も年齢と共に、老化していくことが、1つの原因でもあります。

血管は、身体の隅々に、酸素と栄養を供給して、かつ老廃物を除去する役割があります。

そして、その血管の中で、毛細血管が全身の血管の99%を占めています。

ところが、最近の研究で毛細血管が60~70代の人は、20代に比べて4割も減少してしまいます。

しかし、その血管の老化防止に大変効果的なのが、ストレッチなのです。

ストレッチをすることで、血管内皮細胞から血管を柔らかくする一酸化窒素が出て、以下のような効果が生まれます。

 
 1) 平滑筋細胞に作用し血管拡張を引き起こす
 
 2) 血小板の付着や凝固を防止 → 血栓の形成を抑止

 3) 平滑筋細胞の増殖抑制 → 血管壁の肥大を抑制

 4) プラークの形成を防止

 
日本人の死亡原因の、二位と三位が心臓病と脳卒中なので、血管の健康に深く係わり合いある病気です。

 

○ 心のあり方と慢性炎症

NHKスペシャルで健康長寿についての特集があり、100歳以上の方「センテナリアン」の最新研究結果が、報道されていました。

その中で、長寿になる要素として、慢性炎症とCTRA遺伝子のポイントが、非常に大切であることが判りました。

つまり、100歳以上の方のほとんどが、身体に炎症が起きておらず、早死してしまう人ほど、身体に炎症が見られることことが判明しました。

「センテナリアン」の方々の血管内部は、ほとんど炎症が起きておらず、非常にきれいな状態でした。

そして、炎症が起きる原因として、食事と心のあり方が、大きな要素として取り上げられていました。

食事については、発酵食品やオリーブオイルなど質の良い油で腸内環境を整えるものが非常に大切なことでした。

また、いくら良い食事を心がけたとしても、精神的に満足のいく生活をすることが、大切だと言うことが非常に興味深い内容でした。

心の中に、満足感が広がると、CTRA遺伝子群という遺伝子が活性化されるそうです。そして、その遺伝子は、身体の炎症を抑える働きがあるのです。

しかし、その満足感の中でも、二種類の満足感があり、1つは炎症を促進させ、もう一つはCTRA遺伝子群が活性化され、炎症を抑えるのです。

その二種類の満足感とは、以下の2つです。

 
 1) 自らの欲望を満たすもの
 物欲や食欲、性欲や娯楽の満足感は、一時的快楽であり、炎症を促進させる。

 2) 生きがいを感じる満足感
 社会に貢献性を感じたり、人の役に立つことに満足を感じるものは、CTRA遺伝子群が活性化する。

 
こうして見ると、人間は社会性を持った生き物なので、社会に調和をもたらす活動をする人間は、自然と長生きできるように、神の設計図が作られているように感じます。

ヨガの哲学も、自分の本質であるアートマンという存在は、宇宙全体の一部であると定義されています。

その為、自分の本質を理解すると言うことは、社会や自然と調和することを通じて、初めて理解できるものなのです。

 
最近、マインドフルネスなどと言われ、瞑想に対する関心が非常に高まりを示していますが、その瞑想もこの身体の慢性炎症を抑えるのに、高い効果をもたらします。

NHKスペシャルの番組では、瞑想することによって、CTRA遺伝子群が活性化され、炎症を抑える実験結果が、紹介されておりました。

 
このように、ヨガや瞑想は、身体の老化防止に優れた効果を発揮するだけでなく、人生のクオリティを高める上でも、優れた役割を果たすことは間違いないと思います。


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この記事の著者

ユキオスダルシュナヨガ主宰

ヨガ歴20年、ヨガ指導歴13年。日本で最も有名なアシュタンガヨガスタジオIYCほか、国内著名ヨガスタジオ、スポーツジムにて指導経験を積む。取得した指導者養成資格多数。近年は、ヨガ哲学をテーマにワークショップを数多く開催する一方、ティーチャートレーニングにて後進ヨガインストラクターの育成にも力を注ぐ。

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