ジャンプスルーとハンドスタンド克服への道


5月25日 IYC表参道スタジオでワークショップを開催しました。

当日は初心者の方から長く練習されている方まで、多数参加されました。

改めて、ジャンプスルーとハンドスタンの関心の高さを感じました。

○ジャンプスルーとハンドスタンドの目的とは

ヨガの練習で、優雅にジャンプスルーとハンドスタンドに憧れる人は多いですが、

なぜジャンプスルーとハンドスタンドするのか、それを理解している人は非常に少ないです。

特に、ジャンプスルーとジャンプバックは、アシュタンガヨガの練習をする上で、避けては通れないものです。

プライマリーシリーズのシークエンスの中で、シッティングのポーズの流れで、ジャンプスルーとジャンプバックは繰り返し行われます。

ワークショップの冒頭に、参加者の方々に、何のためにジャンプスルーとジャンプバックをするのか問いましたが、誰も知っている人はいませんでした。

つまり、多くの人がジャンプスルーとジャンプバックを成功させたいが、その目的を知らないのです。

しかし、その姿勢だと、ヨガの本質を見失う結果になりかねません。

ヨガの中で、カルマヨガというカテゴリーがあります。

カルマヨガとは、行為行動を通して、様々な想念やこだわりを解き放ち、自己の本質と結びつくことを意図しています。

具体的には、行動の結果に執着せず、純粋に行動することで、内なる欲望を解消させ、エゴの活動を抑え、自己の本質に結びつくことを目的としています。

身体を使ったアーサナ練習は、ハタヨガのカテゴリーに入りますが、先ずその前提条件として、カルマヨガが出来ていないと意味がありません。

そうでないと、アーサナが出来る出来ないに執着してしまい、結果に自己の束縛を強めてしまうことになってしまうからです。

現在のヨガのワークショップの多くが、アーサナの出来る出来ないのテクニックに終始してしまい、その本質を見失っています。

ヨーガ・スートラでは、第二章の46節で、アーサナの定義がされています。

・sthirasukhamasanam スティラスカムアーサナム

つまり、アーサナとは、サンスクリット語で、2つの要素から構成されていると説いています。

その2つとは、sthira(スティラ)とsukham(スカム)です。

sthira(スティラ)の意味は、 堅固な、不動の、安定したと言う意味です。

sukham(スカム)の意味は、 快適な、くつろいだ、平和なと言う意味です。

そして、この2つの要素を養う上で、ジャンプスルーとハンドスタンドの練習は非常に大切なものとなるのです。

○練習の質を高める3つのポイント

アシュタンガヨガの練習の質を高める3つのポイントは、非常に大切です。

高い質の練習とは、練習を通じて、自己の本質と触れあうことです。

その点をより説明すると、アーサナの見た目が出来る出来ないではなく、もっと内面的要素です。

その要素とは、トリスターナと呼ばれ、以下の3つの要素です。

・呼吸

・バンダ

・ドリスティ

アシュタンガヨガは、ヴィンヤサと言って呼吸と連動したダイナミックな動きのあるヨガです。

呼吸と連動する意味は、すべての動作は呼吸が主導となると言うことです。

つまり、呼吸が動作を導いているのです。

このようにすることで、動作が快適で、くつろいだものとなり、心き穏やかで、身体の動きも調和が取れます。

またバンダは、サンスクリット語で「鍵」を意味する言葉で、エネルギーを体内に封じ込める役割があります。

それによって、呼吸と共に入ってくるエネルギーを、身体の中に保持することができます。

その保持されたエネルギーは、最終的に自己の覚醒へと向かうことになります。

そしてドリスティとは、視点を固定するテクニックで、その目的は身体のアライメントの調整とこころの集中です。

目の動きとこころの動きが連動することは、現代の大脳生理学でも証明されています

つまり、視点を固定することによって、こころの動揺を無くすことを目的としています。

アームバランスのように、高度なバランスが必要される時、精神的な動揺は致命的となります。

このように、3つの要素を充実させることで、動く瞑想と言われるアシュタンガヨガの本領が発揮されるのです。

またそれは同時に、ジャンプスルーとハンドスタンドを克服する為にも、必須のポイントとなります。

ワークショップ当日は、このトリスターナと呼ばれる3つの要素を、詳細に説明しながら、具体的テクニックまで説明しました。

 

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この記事の著者

ユキオスダルシュナヨガ主宰

ヨガ歴20年、ヨガ指導歴13年。日本で最も有名なアシュタンガヨガスタジオIYCほか、国内著名ヨガスタジオ、スポーツジムにて指導経験を積む。取得した指導者養成資格多数。近年は、ヨガ哲学をテーマにワークショップを数多く開催する一方、ティーチャートレーニングにて後進ヨガインストラクターの育成にも力を注ぐ。

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