ヨガを実践している人は、ヨガの2つの経典を耳にしたことがあると思います。
どちらもヨガを学ぶ上で、非常に大切な書物ですが、説いている内容について、明確な違いを認識している人は少ないと思います。
しかし、実際にはこの2つの経典は、その違いを理解しないと、十分にその経典を活かすことができません。
なぜならば、この2つの経典が対象とする読者も、また語りかける方法も、全く違うのです。
○ バガヴァッド・ギーターとは
バガヴァッド・ギーターは、もともとバラタ一族の壮大なファミリーストリー(マハーバーラタ)の中に、ヨガの知恵を盛り込んだもので、その話の一部です。
その為、読者も一般大衆を対象としており、小説を読む感覚で、ヨガの深淵な教えを理解できるようになっています。
その上、「ギーター」とは、歌を意味しているように、原典のサンスクリットで朗読すると、とても美しい韻を奏でて、非常にリズミカルで、聞くだけで心が落ち着きます。
ただ一般大衆向けと言われても、書かれている内容は、非常に深淵なので、何回読んでも新しい発見があります。
その理由は、表現そのものが同じ哲学的真理を様々な表現で説明したり、日常的なもの(亀・畑・蓮など)で真理を喩えているので、その言っている事柄の解釈が、非常に大切となります。
その為、何回も読んでいる内に、その本当の意味が判ったりもします。
またこの経典は、紀元前5世紀ごろに作成されたとも言われており、作者はヴィヤーサ仙で、最高のヴェーダ学者と言われています。
しかし、ここで最も大切なのは、「バガヴァッド・ギーター」もその一部である「マハーバーラタ」という物語で、作者の本人が登場しているのです。
さらに、そのヴィヤーサ仙の子孫が、バガヴァッド・ギーターで出てくる戦いで、大きな役割を果たしているのです。
つまり、バガヴァッド・ギーターは、作者はヴィヤーサ仙の自叙伝でもあり、彼が人生で経験した事柄、アートマンまたは神の視点で語ったのが「マハーバーラタ」なのです。
これの意味するところは、人間が経験することに関しては、エゴの視点で解釈すると、単に好きか嫌いで終わってしまうことが、アートマンという魂の視点で観ることによって、偉大な知恵を手にすることができることを教訓して伝えているのです。
我々も、このヴィヤーサ仙の教訓を活かして、限られた人生において、同じ経験であっても、不平不満で終わらせるのではなく、知恵を身につける手段として、有意義なものにしていくべきでしょう。
○ ヨーガ・スートラとは
ヨーガ・スートラの冒頭が、この経典を象徴しております。どのように、始まるかと言うと、サンスクリット語で「Atha」という言葉で始まります。
「Atha」(アタ)の意味するところは、いろいろ前提があって、「さて」とか「これから」という意味を表しているのです。
つまり、全くヨガとは無縁な生活をしてる人向けではなく、すでにヨガをある程度実践している人向けにかかれているのです。
具体的には、「ヨガ行者」向けの内容だということです。
内容が深いとか浅いというこではなく、「バガヴァッド・ギーター」は一般大衆向けに書かれており、「ヨーガ・スートラ」はヨガ行者向けの専門的な内容となっているのです。
どのように専門的かと言うと、人間のこころの構造については、非常に洞察深く、論理的に書かれているのです。
現代的に言うと、心理学における学術論文のようなものなのです。
その為、「バガヴァッド・ギーター」は、本の途中から読んでも、それぞれが完結しているので、理解しやすいですが、「ヨーガ・スートラ」のその構成の順番が精緻に組み立てており、最初から読んで理解しないと理解できない構成になっています。
因みに、パタビジョイス師が創設したアシュタンガヨガ・ヴィンヤサ・システムのポーズの順番も、精緻に順番が組み立てられており、途中のポーズから始めても効果は得られないのです。
このように、「ヨーガ・スートラ」は、ヨガ行者を対象とした専門書なのです。
また、著者はパタンジャリで、四世紀ごろに成立したものと言われています。時代的には、その前にインドでは仏教が繁栄したこともあり、仏教の思想も影響していると言われています。
とにかく、「こころ」という目に見えないものを、これほど論理的に、かつ明快に解説して、最終的にヨガ行者が辿り着く目的地を指し示しているという点に於いて、非常に大切な経典あることは間違いないです。
○ 6派のヨガ哲学と2つの経典の関係
インドのヨガ哲学と一口に言っても、実は6派の流派に分かれていて、真理に対するそれぞの主張が異なっています。
その6派とは、2つが1つの組となって、以下のように定義されています。
・サーンキヤ学派
・ヨーガ学派
・ヴェーダーンタ学派
・ミーマンサー学派
・ニヤーヤ学派
・ヴァイシェーシカ学派
もともとは、一番古い「ウパニシャッド」と言われる聖典の考えを発展させる中で、分岐しました。
そして、「ヨーガ・スートラ」は、サーンキヤ学派の経典として区別され、「バガヴァッド・ギーター」は、ヴェーダーンタ学派の聖典とされています。
サーンキヤ学派とヴェーダーンタ学派が、どのように違うのか説明すると長くなってしまうので、非常に簡単に一口でいうと、悟りに対する条件が違うということです。
サーンキヤ学派は、ありのままの真実を観ることで解脱するとして、ヴェーダーンタ学派は、アートマン(魂)が神の一部であることを認識することで、悟りに到達すると主張しています。
私個人としては、真実は1つであり、この両者の見解は、同じ真理をどのように解釈するかの視点の違いであると考えいてます。
一番大切なことは、1つのものの見方に固執して、他方を排斥したり、自らの学派内で束縛を強めるようなことはあってはならないと感じております。
あくまでも1つ真理に対して、自由自在なものの見方ができてこそ、初めて真理に到達できると確信しております。
IYC表参道開催 ヨガ哲学とマインドフルネス
4月15日から月一回、土曜日の午後にIYCの表参道スタジオで、ワークショップを開催します。
今回のワークショップは、非常に実践的なクラス構成で、日頃の練習や日常生活で活かせる内容になっています。
IYCは私にとっても、ケンさんの元で、長年アシュタンガヨガを、練習してきた拠点ですので、特別なワークショップです。
今回は表参道スタジオで、交通のアクセスも便利で、素敵な環境で落ち着いて学べます。
ユキオ
●やさしいヨガ哲学とマインドフルネス瞑想
(3回シリーズ)
ワークショップの詳しい内容は、こちらからご確認下さい。
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IYC表参道WS
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